東京藝術大学美術学部デザイン科3年生12人が、循環型社会実現のために廃棄物の「解体」を起点に考えたデザイン提案9点の作品を展示する。
ゴミを減らそう、再利用しよう、と言うけれど、すべての廃棄物を有効活用するために「こうしなさい。それはダメ」とやっていくと、「地球にやさしい」がどんどん「人に厳しい」になっていく。ストレスなく、むしろ楽しめるものとして私たちのライフスタイルのなかに循環型社会が溶け込んでいくために、デザインは何ができるのか?
デザイン科教授の藤崎圭一郎と、株式会社ナカダイ代表取締役で藝大のゲスト講師を務める中台澄之氏が「解体のレシピ」というタイトルの実技課題を実施。学生たちは中台氏の講義を聴き、前橋にあるナカダイの産業廃棄物を処分する工場を見学して、作品の発想を膨らませた。そこで見た、山積みされた未使用パッケージや、資源を取りだすために手作業でひとつひとつ空調装置を解体する様子、そして、イヤな匂いがせず、隅々まで整えられて、働く人が気持ちよく挨拶してくれるナカダイのクリーンな産廃工場に刺激を受けて、学生たちが映像作品、グラフィック、コスチュームなどを制作した。
解体を念頭にデザインがなされると、捨てたら誰かが処理してくれるからおしまいというのでなく、捨てた先の経路が見えてくる。学生たちの作品は、人にやさしい循環型社会のあり方を問いかけてくれるはずだ。
主 催:東京藝術大学美術学部デザイン科
協 力:株式会社ナカダイ、株式会社モノファクトリー