日本で34年ぶりに開催される世界デザイン会議にあわせて10月24日(火)から29日(日)、東京・丸の内仲通りのデザインギャラリーGOOD DESIGN Marunouchiにて、「人新世のデザイン」連続トーク&展覧会を開催します。
産業社会や資本主義の進展は、地球規模の大きな環境変化をもたらし、「人新世」(じんしんせい)という地質学的に新たな時代に入ったと言われるようになりました。デザインは生産と消費、技術と人間、社会と個人などつなぐ手段として、その重要性を広く認められるようになりました。では、デザインはこの「人新世」を生きのびるために何ができるでしょうか。経済的な格差はますます拡大し、政治的な分断が広がり、気候変動や生物多様性を減衰などによって環境が激変し、破滅のシナリオが免れないような状況が迫るなか、デザインの役割も変わっていくはずです。
この時代を生き抜くためにデザイナーは何をフォーカスすべきなのか。誰もが居場所をもてる社会が実現できるのか。その社会と自然の生態系をどうやってつなげていけるのか。人新世のデザインとは? そうしたテーマを多彩なゲストをお迎えして語り合います。また、会場には参加デザイナーの作品11点及び、近年のグッドデザイン賞受賞デザインなどの作品を12点展示します。
会場参加のお申し込みはこちらから。 音声のみYoutubeLiveでも配信します。
ディレクターが全てのトークのモデレーターを務めます。*印の方はリモート参加です。
[展示] の記載がある方は会場内に作品展示も行います。
10/24(火)
19:00 - 20:30 「コンテンポラリーデザインと人新世」 we+ [展示]
10/25(水)
17:30 - 19:00 「デザイン史を捉え直す」 岩渕 正樹*・野見山 桜*
19:30 - 21:00 「居場所とコモンズ」 アリソン 理恵
10/26(木)
15:00 - 16:30 「自然をクライアントとして」 荒木 宏介 [展示]
19:00 - 20:30 「人新世のソーシャルイノベーション」 森 一貴* ・石塚 理華
10/27(金)
17:00 - 18:30 「社会に展開するデザイン」 SPREAD* [展示]
19:00 - 20:30 「人類の分水嶺としてのコンヴィヴィアルテクノロジー」 緒方 壽人[展示]
21:00 - 23:00 「人新世のデザインジャーナリズムのあり方」 徳山 弘基・吉田 知哉・浅子 佳英
10/28(土)
11:00 - 12:30 「都市林業の可能性」 湧口 善之 [展示]
13:00 - 14:30 「デザインと政治をつなぐ」 古谷 萌 [展示]
15:00 - 16:30 「よみがえらせるデザイン」 AtMa inc. [展示]
19:00 - 20:30 「自然/人工を再考する」 吉泉 聡 [展示]
22:30 - 23:30 「変容する人新世の都市・テクノロジー・デザイン」 齋藤 精一
10/29(日)
11:00 - 12:30 「サーキュラーデザインの未来形」 水野 大二郎
13:00 - 14:30 「人新世とライフスタイル」 本多 沙映 [展示]・M&T [展示]
15:00 - 16:30 「デザインの課題を可視化する」 山本 大介 [展示]
藤崎 圭一郎
デザイン評論家/編集者
1963年生まれ。デザイン評論家、編集者。東京藝術大学デザイン科教授。86年上智大学卒。90-92年『デザインの現場』編集長。93年よりフリーランス。2010年より東京藝術大学准教授。16年より現職。著書に『デザインするな』(DNPアートコミュニケーションズ)。『AXIS』にて生命科学の研究者を取材する「SciTech File」を連載中。ネット配信番組「山水郷チャンネル」の共同ホストも務める。
土田 貴宏
デザインジャーナリスト
1970年生まれ。会社員を経て2001年からフリーランスで活動。国内外での取材やリサーチをもとに専門誌などに寄稿している。東京藝術大学、専門学校桑沢デザイン研究所で非常勤講師を務める。近著『デザインの現在 コンテンポラリーデザイン・インタビューズ』(PRINT & BUILD)。
アリソン 理恵
ARA代表 / MIAMIA / IAM店主
1982年宮崎県出身。豊島区東長崎にて一級建築士事務所ARA、コーヒーショップ MIA MIA、カルチュラル・キオスクI AMを営み、誰でもプロジェクトを起こしやすい環境としての日常風景を提案している。また生活者の視点から、町を自分たちの場所として整え繕う「町の営繕」を実践中。2010年日本建築学会 作品選奨、2016年ヴェネチアビエンナーレ審査員特別表彰など。
荒木 宏介
デザイナー、アーティスト
1988年スイス、ジュネーヴ生まれ。2010年多摩美術大学プロダクトデザイン専攻卒業、2013年ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)デザイン・プロダクツ修士課程修了。在学中より、効率を優先し均質的に発展する量産社会とその問題に対し、新しい価値観や美意識、自然と共存共栄する人間味ある暮らしの風景を求め制作を行う。「My Client is Nature.」をモットーの一つとする。Lexus Design Award 2016グランプリ(共作)、Design Anthology Awards 2021 Emerging Talent賞など受賞。「Anima」はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A、イギリス)、ニューヨーク近代美術館(MoMA、アメリカ)、CID Grand Hornu(ベルギー)に収蔵されている。
浅子 佳英
建築家 / 編集者
1972年神戸市生まれ。2007年タカバンスタジオ設立、2022年には設計と編集を行うPRINT AND BUILDに改組。09年東浩紀らとともにコンテクチュアズ(現ゲンロン)設立、12年退社。著書に「TOKYO インテリアツアー」(安藤僚子との共著)。「百貨店の歴史」(菊地尊也との共著)。出版物に「デザインの現在」土田貴宏著。リサーチに「TOKYOデザインテン」「パブリックトイレのゆくえ」「百貨店展」。おもな作品に「Gray」(2015)、「八戸市新美術館」(2021:西澤徹夫、森純平との共同設計)など。
AtMa inc.
鈴木良と小山あゆみにより2013年に設立されたクリエイティブユニット。
アパレルショップやレストラン、ウィンドウディスプレイなどの空間のデザイン、ホテルやアパートメントのディレクション、プロダクトデザイン、インスタレーションなどのクライアントワークに加え、社会課題などを取り上げた自主制作への取り組み、また自身の作品やアーティストとのコラボレーションを展示し考えを共有できるスペース(COM)の運営と3つの軸を持ち、活動の幅を広げている。それらの軸を行き来することで多角的な視点や素材への理解を深め、さまざまな表現を探求している。
近年のミラノサローネでは、企業とのインスタレーションや自主制作作品を発表。また、運営するスペース”COM”から派生したプロジェクトを国内で発表している。主な受賞歴に、FRAME AWARDS (Emerging Designer of the Year)、PARIS DESIGN AWARDS(Product Design - Experimental Design/ Interior Design - Retail) など。
古谷 萌
アートディレクター / イラストレーター
1984年生まれ。2017年「Study and Design」設立。グラフィックデザインを中心に、商品開発、パッケージデザイン、CI・VI、キャラクター開発など、幅広い分野で活動。2020年、自身のプロジェクトとして「vermilion」を始める。
本多 沙映
デザイナー・ジュエリーアーティスト
武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、IDÉEを経て渡蘭。2016年Gerrit Rietveld Academie卒業。2021年にオランダから日本に拠点を移し、国内外で自主制作作品を発表するほか、コミッションワークも手がける。作品はオランダのアムステルダム市立美術館、アムステルダム国立美術館、アーネム博物館にて永久所蔵。著書に「EVERYBODY NEEDS A ROCK」、「Anthropophyta / 人工植物門」(torch press)など。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科非常勤講師。
石塚 理華
一般社団法人 公共とデザイン 共同代表
千葉大学工学部デザイン学科・同大学院卒業。在学中には、グラスゴー美術大学(英)とケルン応用科学大学(ドイツ)に交換留学。大手人材サービス企業でのデザインディレクション業務を経て、共同創業した受託開発ITスタートアップで多分野の体験設計やデザイン開発に従事。2021年、〈多様なわたしたちによる新しい公共〉を目指し、企業・自治体・住民と共に社会課題へ対峙するソーシャルイノベーション・スタジオ「公共とデザイン」を設立。渋谷区との住民参加型イノベーションラボ設立支援や、〈産む〉にまつわる価値観を問い直すプロジェクトなど。
岩渕 正樹
デザイン・フューチャリスト/東北大学特任准教授
NY在住のデザイン実践者・研究者・教育者。米JPモルガン・チェース銀行 デザイン・フューチャリスト。未来洞察やスペキュラティヴデザインを用いた組織・事業のビジョン創出、社会実装に向けたプロダクトのプロトタイピングに従事。また、東北大学特任准教授として、ビジョンデザインを誰もが持つべきリテラシーとすべく社会教育を展開。東京大学工学部、同大学院学際情報学府修了後、IBM Designでの社会人経験を経て、2018年より渡米し、2020年パーソンズ美術大学修了。近年の受賞・実績にGood Living 2050 国際ビジョンデザインコンテスト審査員、Core77デザインアワード スペキュラティヴデザイン部門など。
M&T
プロダクトデザイナー
M&Tは池田美祐と倉島拓人によるデザインユニット。
プロダクトデザインを軸に家具、生活用品、インスタレーションなど様々なプロジェクトを手掛けています。入念なリサーチと、素材に縛られない幅広いデザインの提案は、美しい佇まいと機能性を兼ね備えています。
水野 大二郎
京都工芸繊維大学教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授東京生まれ。高校卒業後渡英し、Royal College of Artにて修士・博士号取得。日本帰国後はファッションデザインを中心にしつつも横断的なデザイン研究に従事している。
森 一貴
Project Manager
Aalto大学デザイン修士課程修了。まちに変容を埋め込むデザインを探究。地域×デザイン。寛容、変容、わからなさ。福井県鯖江市のシェアハウス/半年間家賃無料で住める「ゆるい移住」コーディネーター/福井の工芸の祭典「RENEW」元事務局長。
野見山 桜
デザイン史家
パーソンズ・スクール・オブ・デザインでデザイン史とキュレトリアルスタディーズの修士号を取得。東京国立近代美術館勤務を経て、デザイン史家として、展覧会の企画、書籍・雑誌のテキスト執筆、翻訳などを行う。2020年より五十嵐威暢アーカイブ(金沢工業大学)の開設準備に携わる。最近の仕事に『Igarashi Takenobu A to Z』(Thames & Hudson、2020年)、展覧会『DESIGN MUSEUM JAPAN:日本のデザインを集める、つなぐ』(国立新美術館、2022年)などがある。
緒方 壽人
デザインエンジニア
東京大学工学部産業機械工学科卒業。IAMAS、LEADING EDGE DESIGNを経て、2012年よりtakramに参加。ハードウェア、ソフトウェアを問わず、デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスなど領域横断的な活動を行う。主な受賞に、2004年グッドデザイン賞、2005年ドイツiFデザイン賞、2012年文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品など。
齋藤 精一
クリエイティブディレクター1975年神奈川県生まれ。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。03年の越後妻有アートトリエンナーレでアーティストに選出されたのを機に帰国。フリーランスとして活動後、06年株式会社ライゾマティクス(現:株式会社アブストラクトエンジン)を設立。社内アーキテクチャー部門「パノラマティクス」を率い、現在では、行政や企業などの企画、実装アドバイザーも数多く行う。2020年ドバイ万博 日本館クリエイティブ・アドバイザー。2025年大阪・関西万博EXPO共創プログラムディレクター。
SPREAD
クリエイティブ・ユニット
山田春奈と小林弘和によるクリエイティブ・ユニット。長い時間軸で環境を捉えるランドスケープデザインの思考と鮮烈な印象を視覚に伝えるグラフィックデザインの手法を融合。環境・生物・物・時間・歴史・色・文字、あらゆる記憶を取り入れ「SPREAD = 広げる」クリエイティブを行う。
主な仕事に「国立新美術館開館10周年」記念ビジュアル、Art Fair Beppu、工場見学イベント「燕三条 工場の祭典」(2013-2022)、コスメブランド「Celvoke」、ジャパン・ハウスロンドン展覧会「The Carpenters’ Line」「Living Colours」「Biology of Metal」。
徳山 弘基
デザイン誌「AXIS」編集長1979年愛知県生まれ。一橋大学卒業後、電機メーカー、音楽系出版社を経て、2023年に株式会社アクシス入社。同年5月より現職。
吉田 知哉
編集者/クリエイティブディレクター
株式会社コンセント Design Leadership部門所属。デザイン誌『DESIGN AND PEOPLE』編集長。編集とメディア戦略支援等に従事。『ブルーノ・ムナーリの本たち』、森岡督行『BOOKS ON JAPAN 1931‒1972 日本の対外宣伝グラフ誌』、ヨゼフ・ミューラー゠ブロックマン『遊びある真剣、真剣な遊び、私の人生 解題:美学としてのグリッドシステム』、岡秀行『包:日本の伝統パッケージ、その原点とデザイン』など、デザイン関連書を数多く手がける。株式会社森岡書店 共同経営者。
山本 大介
デザイナー
山本大介は建築・インテリアデザイン・プロダクトデザインをバックグラウンドに持ち、コンテンポラリーデザインを中心にオブジェクトと建築環境の関係性に焦点を当て活動。
2022年にデザイン領域に捉われず包括的なデザイン思考を持ち活動を行う山本大介デザインスタジオを設立。人間、素材、技術、環境、歴史、美学への深い考察から実験的、コンセプチュアルな再考を通じて、アブストラクションとファンクションの境界を曖昧にし、人と物体と環境を巡るデザインの可能性を追求している。
吉泉 聡
デザイナー / TAKT PROJECT代表
既存の枠組みを揺さぶる実験的な自主研究プロジェクトを行い、その成果をミラノデザインウィーク、デザインマイアミ、パリ装飾美術館、香港M+、21_21 DESIGN SIGHTなど、国内外の美術館やデザインの展覧会で発表・招聘展示。その研究成果を起点に、様々なクライアントとコラボレーション「別の可能性をつくる」多様なプロジェクトを具現化している。主な受賞に、Dezeen Awards(イギリス) / Emerging Designers of the year 2019、DesignMiami/ Basel Swarovski Designers of the Future Award 2017(スイス)、また、イギリス発の国際的なカルチャー誌Wallpaper*(イギリス)にて「25 creative leaders of the future」に選出など、国内外の受賞多数。3つの作品が、香港の美術館M+に永久収蔵されている。23年、21_21 DESIGN SIGHT企画展「Material, or 」の展覧会ディレクターを務める。
湧口 善之
都市森林株式会社代表取締役2012年、都市森林株式会社設立。檜・杉ほか日本の木全活用、都市森林資源(街の木と建築廃材)の活用を掲げ、木工品の企画・製作・販売、オーダー家具、インテリアの設計製作。街で伐られた木々の回収、活用を開始、様々な樹種のノウハウを蓄積。
様々な街の木の現場に対応するうちに、木々の診断、伐採、製材、イベント、まちづくりが業務範囲に。2013年、一般社団法人街の木ものづくりネットワークの前身となる、街の木を活かすものづくりの会設立。街の木を活用した木工イベント等による啓発活動。街の木を使った食器やメニューを提案するカフェと木工体験を組み合わせた、マチモノカフェ&ワークショップを毎月開催。2014年、街の木のいのちをつなぐ苗木づくりプロジェクト開始。2017年、一般社団法人化。
we+
デザインスタジオ
リサーチと実験に⽴脚した独⾃の制作・表現⼿法で、新たな視点と価値をかたちにするコンテンポラリーデザインスタジオ。林登志也と安藤北⽃により2013年に設⽴。日々の研究から生まれた自主プロジェクトを国内外で発表しており、そこから得られた知見を生かした、R&Dやインスタレーション等のコミッションワーク、ブランディング、プロダクト開発、空間デザイン、アートディレクションなど、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手がける。Dezeen Awards / Emerging Design Studio of the Year Public Vote(英)、EDIDA / Young Designer of the Year Nominee(伊)、日本空間デザイン賞金賞他受賞多数。作品はドイツのVitra Design Museumなどに収蔵されている。
・浅間北麓の地域資源の価値化とキャンプ場等の場づくりを軸にした循環型地域未来創造事業(有限会社きたもっく ) |
・バウマイスターの家(株式会社 平成建設 +株式会社 宮田構造設計事務所 |
・「陶磁器の循環社会」食器のリサイクル肥料 [BONEARTH(ボナース)] (ニッコー株式会社) |
・卵の殻によるバイオマス素材 [卵の殻から生まれたバイオマス食器「シェルミン」] (ヤマト化工株式会社+アヅミ産業株式会社+スリーライン株式会社+株式会社福井クラフト+株式会社サムライトレーディング) |
・カフェチェア・テーブル [アップリングシリーズ] (株式会社オカムラ+ 慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター) |
・椅子張り生地 [リネット] (株式会社オカムラ) |
・プラスチックペレット Repla(株式会社esa) |
・石けんケース ムー(九州産業大学) |
・海洋プラスチックの再資源化プラント開発 リマーレ(株式会社REMARE) |
・繊維リサイクルボード [PANECO](株式会社ワークスタジオ) |
・未活用の繊維素材を価値化する取り組み [NUNOUS(ニューノス)](セイショク株式会社) |
・オーガニック肥料「土の薬膳」と地消地産コンポスト(株式会社金澤バイオ研究所) |